会員紹介:鈴木裕摩さん

  サッポロホールディングス株式会社 グループ法務部 勤務

  平成28年度合格


<司法書士を目指した理由>

 

 法学部でもなく、特に法律を学んだこともない私が、司法書士を目指すことになった一番最初のきっかけは、単純に、法律に詳しくなりたい、法律知識を武器にしたい、と思ったことです。

 

 社会人になって、しばらくたった頃から、業務を通して、「法律を知っていることは重要だな」と感じ始めました。ただ、仕事もそれなりに忙しく(それを自分への言い訳として)、特に勉強を始めるでもなく、そのまま数年過ぎていきました。

 

途中、社内の法務の研修を受け、法律に対する興味は深まりましたが、具体的に行動を起こすことも無く、さらに数年が経過しました。ただ、どこかで悶々とするものがずっとあり、一念発起いよいよ本格的に勉強しようと思い立ちます。

 

知人のアドバイスにより、まず宅建に挑戦。久しぶりの勉強に手間取りながらも一発合格することができました。

 

勉強の習慣もついたところで、もっと自分の専門性を高めていきたいと、次のステップを考え始めます。そこで行き着いたのが、司法書士だった、ということになります。

 

今にして思えば、取り組みを始めた当初は、「司法書士」という資格、そして仕事について、最低限の知識と雑駁なイメージしかありませんでした。ただ、合格するまでの長い道のりにおいて、司法書士の仕事、使命、魅力を知るにつれ、その資格を手に入れたい、という思いを次第に強くしていきました。

 

やはり、それは司法書士の業務が幅広く、「身近な法律家」として人様の役に立つ、専門性の高いものであるからだったと思います。

 

<現在の仕事内容・所属組織はどのような職種・業種ですか?>

 

 所属しているのは、ホールディングスの法務部ということで、基本的にグループ各社全体の法務関連全般を担当する部署です。

 

 その中で自分の担当業務は、一般法務の部類になりますので、様々な契約書の作成、確認をメインとして、それに付随した色々な相談を受けています。

 

また、グループ会社の再編やM&A案件のプロジェクトに参加して、法務からの知見を述べたり、それに関する登記のアドバイスをしたりしていますが、この際、司法書士としての知識が役に立っていることは、改めて言うまでもありません。

 

もう一つ、重要な担当業務として社内の法務部員以外を対象とした、法務勉強会の企画・運営を受け持っております。内容によっては、講師も務めます。

 

 自分が法律の勉強を始めた時を思い起こし、一人でも多くの社員が法律の重要さを知り、さらに法律を学びたいと思う、そのきっかけを作れれば、と思っております。

 

<仕事の面白さ>

 

 やはり、勉強してきた知識が、そのまま強みになる、ということは感じています。

 

 司法書士の試験範囲は広範なものでありますが、合格するまでに体系的に学んでいることもあって、その知識は企業法務の業務においても、かなり使えるものです。

 

 そして、会社の業務・内情についても知っていることから、各種の相談案件について、社外の専門家とはちょっと違った視点で、より親身になって応じることができると思います。なお、相談に応じる際には単に結論を示すのではなく、司法書士に合格するために学んだことを活かし、なぜそうなるのか、なぜそう考えるのかといったところまで説明をして、納得してもらうように努めています。

 

 

<「組織内司法書士」であること、当協会の面白さ>

 

 私の場合は、今の会社に勤めながら司法書士に合格し、そのまま会社も変わっておりません。

 

 ただし、司法書士に合格する前と後では、ガラッと環境が変わったと言えます。

 

 一つには、合格に向けて鬱々と勉強していた時と違い、自分に自信がついたことが要因ではありますが、何と言っても一番の違いは、合格と同時に、一気に、かつものすごく世界が広がったことです。

 

合格同期で、司法書士としてバリバリ働いているメンバーは、気軽にいろいろ教えてもらえる何とも頼りになる存在です。会社員では、経験できなかったり、想像もつかないような司法書士実務の話を聞くこともあります。

 

 そして、一方当協会は、私と同じ会社員でありながらも、合格年度も様々で、広範な業種の方が集まっているので、非常に刺激的かつ魅力的な場です。企業法務についても、経験豊富な方がたくさんいらっしゃいますので、司法書士として働く仲間とはまた違った面で、大変心強いネットワークです。また、法務部の方ばかりではないので、広範に会社の業務についての情報交換もできますし、すばらしい異業種交流の場です。

 

 このように、司法書士の資格をフックに、司法書士現業の方々と、様々な企業に努める方々、双方のネットワークに身を置けることに、「組織内司法書士」でいることの魅力を強く感じています。