■組織内司法書士に関する調査結果について

 当協会において、独自に組織内司法書士に関する調査活動を行いましたのでその結果を公表します。


組織内司法書士制度に関する一考察

 

2016年4月25

日本組織内司法書士協会 制度調査委員会

河原正幸(イントリム)

濱野雄治(京浜急行電鉄)

生野太朗(シーエー・モバイル)

 

「背景」

n  組織内に勤務する司法書士・司法書士有資格者の増加

昨今、新卒採用・終身雇用を原則とする従来の雇用形態から、キャリア採用などの中途採用が増加し、企業および組織(以下、企業と組織を総称して「組織」という。)における雇用環境が大きく変化している。その中で、法律知識・実務経験を有する人材を求める組織も多く、法務・コンプライアンス担当者の求人も増えている。

かかる雇用環境のもと、司法書士又は司法書士有資格者が、組織に勤務するケースも増加しており、日本組織内司法書士協会(以下、「協会」という。)に所属する組織内で勤務する司法書士・司法書士有資格者(以下、「組織内司法書士等」という。)数は、53名(20151231日現在)であるが、その他に多数の組織内司法書士等が存在することが明らかである。

しかしながら、弁護士等とは異なり、組織内司法書士等が司法書士登録をする際には、厳格な要件が課されており、近年では登録を認められた例は僅かである。

n  日本組織内司法書士協会の発足

協会は、組織に所属しながら司法書士登録をすることができる制度(以下、組織内司法書士制度という。)の実現をめざして、20138月に発足した。過払いバブルの終焉と登記件数の減少が続く中、組織内司法書士制度を確立することで、

・基本法を熟知した司法書士が組織に所属することによる企業の法務部門の充実

・日本司法書士会連合会や所属単位司法書士会による、継続的な専門研修による個人のレベルアップを通じた組織の法務リテラシーの向上

・司法書士と企業との交流の活発化

等を図り、司法書士の社会的な価値を再認識し、活躍の機会を拡大することを設立の趣意とする。

協会では、①組織内司法書士に関する調査・研究、提言活動、②認知活動、③親睦・情報交換活動を中心に活動をしているが、その中で平成20158月に実施した協会会員による以下のようなアンケート調査から、「組織における司法書士」・「企業法務における司法書士」の実情に関する幾つかの興味深い結果が窺える。

u  「現職への就職(転職)際に司法書士資格は採用のプラスになったか?」の質問に対して81%の回答者が「プラスになった。」との回答を行った。

u  「現在の業務に司法書士の資格は活きていますか?」の質問に対して69%の回答者が「活きている。」との回答を行った。

これらは、組織における司法書士有資格者のニーズが存在すること、およびそのニーズは現場の実務においても肯定されるものであることがすでに実証されている一つの証左であるといえよう。

n  司法書士登録者数・司法書士受験者数の動向

平成15年の簡裁代理認定制度及び平成18年頃からの過払い金返還訴訟業務の拡大などから司法書士の登録者数は拡大し、増減差数で平成23年には、500名を超える増加を記録した。その後、引き続き増減差数はプラスを維持しており、登録者数が増えてはいるものの、増加数は年々減少傾向にあり、平成27年の増加数は292名、登録者数は21,658名である。記録のある平成11年から平成24年までの合格者数の累計は11,393名であるのに対して、同期間における登録者数の累計は10,802名であり、多くの未登録者が存在することがわかる。

一方、司法書士試験の出願者数は、平成22年以降年々減少傾向にあり、直近平成27年度の出願数は、21,754名と昨年比約11.3%減となった。平成22年時の出願数からは、10,000名以上減少している。

n  弁護士その他士業の動向

他の士業に目を転じると、弁護士においては司法制度改革の前後から急激に登録者数が増加し、平成26年度の正会員数は、35,045名と平成25年から約1,400名増加している。既に司法書士の登録者数を上回る数の登録者数となっている。

n  背景から予測される今後の動向

既に司法書士試験の合格者が、従来の登記業務以外の法律業務を行うケースは珍しくはなく、また弁護士の登記分野への進出等、他仕業の動向に起因する登記ビジネスの競争の激化が予想されることから、今後もその傾向は強まるものと思われる。また、受験生又は新たに受験を志す者にとっても、司法書士試験合格後のキャリアパスとして組織内の法律専門家として勤務することが認識され、組織への就職活動における法律専門職としての能力の裏付け・差別化を目的として司法書士試験に取り組む者が増えていくことが想像される。

司法書士登録者及び受験者の数の変動を見る限り、今後司法書士を目指す者及び司法書士試験合格後に登録をする者が、より減少する可能性を否めない。成年後見・簡裁代理権など活躍の場の拡大が司法書士の職業としての魅力を高めたのは事実であるが、現時点においては、司法書士業界の縮小にストップをかける効果までは得られていないのではないだろうか。

司法書士に組織内での活動という選択肢を認め、組織内で活躍する多くの司法書士有資格者を司法書士の仲間として招き、司法書士が優秀な法律専門家である事実を世間に広く発信することにより、司法書士業界のさらなる発展を目指すことを考える時期に来ているものと思われる。

 

「協会設立の目的」

n  組織(企業)による司法書士有資格者の有効活用

近年、法務・コンプライアンス(法令遵守)業務を専門に取り扱う部署の設置を行う企業の数は増加傾向にあり、司法制度改革により法曹人口が増えたとはいえ、いまだこれらの業務に対応できる専門知識・経験を有する弁護士資格者の数は十分とは言えない。また、中小企業では、人件費コスト負担の制約から、さらに人材の確保が難しい。このような現状では、司法書士がこれら企業法務における法律業務を担うのに適した知識・経験を有している存在として有効活用することが資格としての価値の発揮であり、業界全体のプレゼンスの向上に有用であるだけではなく、社会的な要請に応えることにもなる。 

n  司法書士会による潜在リソースの有効活用

司法書士会においても組織に所属する司法書士有資格者が登録することにより、会費収入などの経済的なメリットを享受することができる。今までのところ司法書士の登録者数は、毎年増加しているものの、その増加数はここ数年減少傾向にあり、受験者数の大幅な減少を考えると近い将来、登録者数が減少に転じる可能性が高い。登録する司法書士の会費により運営される司法書士会の活動への影響を考えると司法書士登録を希望する組織内司法書士に対して登録の道を開くことは、司法書士会にとって新たな糧を得ることにつながる。また、登録をして司法書士を名乗ることにより、これまで司法書士会のみならず、社会からも認知されていなかった司法書士資格者の企業法務分野での活躍が見える化されることで業界の認知度向上を図ることができるほか、組織に勤務する司法書士が開業司法書士と組織とをつなぐパイプ役となることで、開業司法書士にとっても、従来の商業登記業務の枠を超えた企業法務の領域への進出の糸口となることも期待できる。 

n  司法書士有資格者による資格の有効活用

組織に所属する司法書士有資格者の全てが登録を望んでいるわけではない。所属する組織の業種や有資格者が所属する部署での業務が一般的な司法書士業務とは全く関係を有しないこともあり、そのような場合においては、多額の会費を支払うほどのメリットを感じないというのが実情である。一方で、有資格者の多くが、法務・法令遵守に関わる業務を組織において担当しており、これらの有資格者の多くが、法律関係の知識・経験の習得に関心があり、司法書士のネットワークや司法書士会が開催する研修活動に一定の興味をもっているもの事実である。また、現状の職務に直結する情報・知識を司法書士会から得ることはないとしても、将来のキャリア形成において、司法書士資格を積極的に活用することを検討する者も相当数存在すると思われる。 

n  司法書士業界の業務拡大と継続性の強化

組織内司法書士の登録を認めることにより、経済界において弁護士以外にも企業法務の担い手として司法書士の存在を認知される機会が増え、その結果、これまで司法書士資格を自身のキャリアアップの手段として活用していなかった司法書士有資格者が積極的に司法書士資格を活用することが期待される。これにより、司法書士の活躍の場所が拡大することにより、司法書士資格を目指す志願者数にプラスの効果が得られることが期待される。企業法務全般を対象とする司法書士の活躍が明らかになることは、登記申請手続に限定されてきた従来の範囲に比べ、格段に広がりをもたらすことになる。

 

「制度」

n  制度設計

組織に勤務する司法書士有資格者の登録を認めるための制度設計としては、弁護士における組織内弁護士制度と社会保険労務士会が認める勤務社会保険労務士制度の2つの制度が参考になる。

 ◆  弁護士型

組織内弁護士制度の内容については、別紙「他士業の動向」調査結果にて記載する通りである。

司法書士においても、司法書士会の会則において組織内に勤務する司法書士についての登録を司法書士会への届出制とすることを定め、組織内司法書士及びその勤務先について会が把握し、また組織内司法書士として受託事件については司法書士倫理等において一定の制限を課すことが想定される。

 ◆ 社労士型

勤務社会保険労務士制度の内容については、別紙「他士業の動向」調査結果にて記載する通りである。

司法書士法自体を改正し、社労士同様に開業司法書士と勤務司法書士の種別を設け、勤務司法書士の役割・業務に関する制限などを制度化することを想定している。

 

「課題」

n  「弁護士型」「社労士型」それぞれにメリット・デメリットがある。

「弁護士型」

メリット:「弁護士型」の場合、組織内弁護士が受託する事件の範囲については、倫理規程以外に法令等による特別な制限は行われていないことから、司法書士においても同様に司法書士倫理に「組織内司法書士に関する規律」等を設け、この制限の範囲内で組織内司法書士に判断を委ねることになる。この方法は、組織内司法書士の活動の自由度も高く活躍できる機会も多くなると思われる。また、法律の改正を伴わない点において、機動的に新しい制度の採用が可能となるものと思われる。

デメリット:実際の業務において、組織内弁護士の場合、受託する事件の性質上、高度な法律専門知識や将来の紛争などのリスクが実質的な歯止めとなり、その結果、組織内弁護士による受託事件の範囲・件数ともに限定されているのではないかと考えられる。また、依頼主側としても自身の法律問題を相談するに際し、より信頼関係や機密性を重視する傾向があると思われることから、事務所を持たず、一民間企業の従業員である組織内弁護士に対して積極的に相談するケースはそもそも面識があるなど特殊なケースに限定されるのではないかと思われる。一方、司法書士業務の中には、司法書士資格を有していれば、実務経験を多く積んでいなくても、比較的受託しやすい登記手続きも存在し、また、インターネットの発達により、一部の司法書士業務に関しては、オンライン上での受注等により依頼主との希薄な関係でも業務が成立する可能性があることから、無責任な業務受託を行う組織内司法書士などによる質の低下を招く可能性もある。ただし、この点は組織内司法書士に特有なものではなく、昨今の懲戒事例等においても散見される問題である。また、受託義務を解消しない場合には、業務受託に関する組織内司法書士自身の判断が、受託義務の精神に反しない範囲でなされなければならないとされる恐れがあり、そうすると実質的に開業司法書士と同様の業務受託体制をとらなければならず組織内司法書士制度自体が機能しない可能性がある。

 

「社労士型」

メリット:「社労士型」は、制度としては弁護士型よりその性質が明確であり、より安定的である。法律上勤務司法書士の活動を制限し、司法書士法により伝統的に司法書士に課せられている「受託義務」「事務所設置義務」等の義務を勤務司法書士に対して適用除外とすることにより、法律上の問題の整理も可能となる。

デメリット:司法書士法の改正が必要となることから、司法書士制度自体の見直しにもつながるスケールの大きな問題となる可能性があり、機動的な対応は望めないものと思われる。

 

「折衷型」

組織内司法書士制度を司法書士法にて規定するのではなく、司法書士会の会則にて定義し、勤務社労士と同様にその活動範囲等に一定の制限を設ける。これにより開業司法書士との区別が可能となり、「弁護士型」のデメリットとして記載した問題点を解決することが可能となる。また、司法書士法そのものの改正は伴わない為、実効性が高い。司法書士法が求める「受託義務」「事務所開設義務」などは、司法書士会の会則における基準を調整することで司法書士法に抵触することなく運用することも可能だと考える。

 

「まとめ」

司法書士志願者数の減少やIT技術の発展等に伴う登記手続の簡素化傾向などを考えると、司法書士制度の維持安定のための活動は必要不可欠であり、その一つとして組織内司法書士制度の実施を検討すべきである。既に多くの有資格者が組織に勤務している事実があり、それに伴い司法書士資格を組織内でのキャリアアップのツールとしてとらえ、司法書士有資格者が組織内で活躍する傾向は今後も拡大していく可能性を考えると、組織内司法書士制度は活躍の場の拡大という意味で、即効性のある有望な活動であると考える。この流れを絶やさない為には、組織内司法書士制度の確立を含めて司法書士界全体として支えていく仕組みを早急に準備することが必要だと考える。

以 上


 

【別紙】

 

他士業の動向

他士業の中でも、組織内での活動が制度化されている【組織内弁護士】【勤務社労士】について、調査を行うこととした。

 

【組織内弁護士】

組織内弁護士は、「弁護士職務基本規程 第5章 組織内弁護士に関する規律」において、「官公署又は公私の団体において職員若しくは使用人となり、又は取締役、理事その他の役員となっている弁護士」と定義があるように、弁護士登録したうえで、組織内で活動することが、制度として確立しているように思われる。

 

【勤務社労士】

勤務社労士は、社労士登録の際に、自分で開業して事務所を構える「開業社労士」と、一般企業の人事部や各種団体等で勤務する「勤務社労士」の種別があるように、社労士登録したうえで、組織内で活動することが、制度として確立している。

 

【組織内弁護士】【勤務社労士】の実態調査を行うために、関連団体の代表者に対して、以下の項目を中心にヒアリングを行った。

  ・組織内士業制度が誕生した経緯

 ・人数と属性

 ・登録について

 ・登録のメリット

 ・所属組織以外からの受託

 ・組織内に登録者がいることのメリット・デメリット

 

ヒアリングの概要

【組織内弁護士】

日 時:平成27525()PM7:00PM8:40

場 所:アンダーソン・毛利・友常法律事務所

参加者:藤本和也(日本組織内弁護士協会理事、共栄火災海上保険)

渋谷武宏(日本組織内弁護士協会理事、アンダーソン・毛利・友常法律事務所)

        堀江、河原、濱野、生野(日本組織内司法書士協会)

  

【勤務社労士】

日 時:平成2732()PM7:00PM8:30

場 所:社会保険労務士法人大野事務所

参加者:大野 実(全国社会保険労務士会連合会副会長 兼 東京都社会保険労務士会会長)

        堀江、早川、河原、濱野(日本組織内司法書士協会)

 

組織内士業が誕生した経緯

【組織内弁護士】

従前、弁護士は原則として常勤公務員との兼職を禁止され、企業などの営利業務の従事については、各弁護士会の許可制とされていた。しかし、司法制度改革の中で弁護士の活動領域の拡大に応じ、200441日に改正弁護士法が施行されたことにより、公務就任の制限が撤廃され、営利業務への従事について届出すればよいこととなった。

 

【勤務社労士】

社会保険労務士という長い名称は、二つの資格が一つになったことによる。1955年頃、「社会保険士(旧厚生省管轄)」と「労務管理士(旧労働省管轄)」の二つの資格が一つになって、「社会保険労務士」の資格が誕生した。「労務管理士」は、企業の労務管理・組合対策等を行う開業型の資格であり、他方、「社会保険士」は、会社の中で勤務する形態の資格であったため、「社労士」制度の創設当初から、「社会保険士」が「勤務社労士」として、「労務管理士」が「開業社労士」として併存する仕組みが必要となり、他の開業型資格とは異なり、「勤務社労士」という類型が存在することになった。

 

人数と属性

【組織内弁護士】

弁護士総数:36,416名(2015630日)

企業内弁護士総数:1,442名(2015630日)

任期付の公務員弁護士の総数:187名(201561日。会員登録者のみ)

弁護士総数に占める組織内弁護士数の割合は約4.4%となる。

 

日本組織内弁護士協会の会員数は以下のとおりである。

総会員数 : 1,124名(2015930日現在)

正会員  :  907名(現役組織内弁護士)

準会員  :  157名(元組織内弁護士経験者)

非登録会員:    60名(弁護士登録していない)

 

【勤務社労士】

社労士総数:約39,000

勤務社労士:約19,500

社労士総数に占める勤務社労士の割合は約50%となる。

但し、東京会では約60%が勤務社労士ということである。

 

登録について

【組織内弁護士】

弁護士登録がなければ弁護士と名乗ることはできないのであり、組織内弁護士として活動するためには、弁護士会への登録が必須である。

会費は、弁護士会毎に異なるものの一般会員の年会費は年間1,000,000500,000円程度であり、開業弁護士と組織内弁護士において、両者に会費の区分は基本的に存在しない。

登録要件をはじめ、開業弁護士と組織内弁護士の間における差異は、企業内弁護士について営利従事届が必要とされる点を除いて、基本的に無い。

ほとんどの企業内弁護士は会社における所属部署の住所をもちいて弁護士登録している。

 

【勤務社労士】

勤務社労士として活動するためには、社労士会への登録は必須である。

会費は、開業社労士は年額96,000円、勤務社労士は年額46,000円と、両者に会費の区分が存在し、勤務社労士の会費は、開業社労士の会費の約半額である。

会費の差異を除き、登録要件をはじめその他の点において、開業社労士と勤務社労士の間における差異は無い。

 

登録のメリット

【組織内弁護士】

企業の法務部門担当者として業務を行う場合、弁護士登録がなければできないものは大きなところでは訴訟だけである。自ら訴訟代理人として担当できることがメリットとなる。訴訟については、金額の多寡、複雑度、重要度等に応じて、自ら担当するか、外部に委任するか、共同受任するか、振り分けを行い、小さい事案は自ら担当し、大きい事案や重要な事案は外部へ委任することも考えられる。また、弁護士と名乗ることができること自体がメリットとなる場合がある。例えば、海外の企業との取引や交渉においては、相手方の法務担当者は当該国の弁護士であるケースも多く、我が国の法務担当者が弁護士であれば相互に弁護士としての信頼関係を構築することが可能となるメリットは大きい。日本組織内弁護士協会が会員に対して実施したアンケートによると、8割の会社が、弁護士会登録費用を会社負担としている。会社が弁護士登録に実質的にメリットを感じているかどうかは調査資料がないため不明である。各会社の事情にもよるので、会社によっては弁護士登録にメリットを感じない場合もあるのではないだろうか。逆に、登録するデメリットはあまりない。

 

【勤務社労士】

研修を受けられることのメリットもあるだろうが、結論としては、「社労士」の名称を名乗ることができるのが一番のメリットなのではないだろうか。(モチベーションの問題)

 

所属組織以外からの受託

【組織内弁護士】

所属組織との関係次第である(もっとも、個人事件が認められているケースはかなり少数ではないか。)。個々人によるところが大きい。国選事案や日弁連の仕事を積極的にやっている人もいる。

 

【勤務社労士】

雇用企業の業務しかできない。雇用企業のグループ企業に対する業務提供もできず、それを可とするためには、開業社労士登録が必要となる。

 

開業弁護士にとって組織内弁護士がいること、開業社労士にとって勤務社労士がいることのメリット・デメリット

【組織内弁護士】

未だ法務分野が開拓されていない業界では外部弁護士への依頼が増加するかもしれないし、法務分野がかなり開拓されている業界では外部弁護士への依頼が爆発的に増加することはないのではなかろうか。時代の趨勢にもよるので正直よく分からないところである。

もっとも、企業内弁護士が増加することにより、外部弁護士の実力が適切に評価される可能性が高まる点は、外部弁護士にとってメリットになるのではなかろうか。

 

【勤務社労士】

勤務社労士は、会費を負担してくれる大事なお客さん(社労士会の支出は、ほとんど開業社労士のためのものなので)である。勤務社労士は、実務能力が不足している場合が多いので、実際には、開業社労士に依頼する企業が少なくない。この場合に、勤務社労士がハブとなり、開業社労士のスムーズな業務遂行に繋がるメリットは大きい。